ずいぶん前に放送されたEテレのSWITCHインタビュー 達人達。
小山薫堂と佐藤可士和の回を最近やっと見ました。
小山薫堂は、料理の鉄人・おくりびと・くまモンの人。
佐藤可士和は、ユニクロや楽天などのロゴデザイン、セブン&アイのブランディングの人。
次々にヒットを飛ばす2人。
真逆だったのは、モノの持ち方・選び方。
不要なモノを排除し、とことんまでシンプルを追求する佐藤可士和。
片付け業界の主流そのものの考え方です。
「捨てよう」
「減らそう」
「厳選しよう」
「もっとシンプルに」
片付けをお仕事にしていると、こういうスローガンを見聞きする機会が多くなります。
正直、ストレスです。
捨てる痛みが成長させてくれる?
痛いんじゃないんだよ。激痛なんだよ。最初から痛いってわかってるならやらないよ。
目指すゴールは同じだけど、そこに至るまでのルートが違う。
ゆっくりとなだらか、カーブのゆるい長いルートを行きたいんだ。
時に立ち止まり、景色を眺め、ゆっくりとゆっくりと。
photo credit: smcgee via photopin cc
でも。
――捨てないでどうやって片付けるの?
この疑問に私はずっと答えられなかった。
汚部屋脱出時、捨てたくないモノは決して捨てなかったけれど、じゃあ1つも捨てなかったかというと捨てていった。
むしろ、今までしがみついていたモノへの未練を断ち切って、捨てていた。
捨てる痛みがあったから、モノを選ぶってことを覚えた。
やっぱり捨てなきゃ片付かないじゃない。
・・・・・・違うんだよな。
ずっとずっと答えられなかった。
答えを教えてくれたのは小山薫堂だった。
小山薫堂はモノに感情移入し、モノにストーリーを見るタイプ。
1年に一度しか使わないような、いや、もう二度と行かないかもしれないようなお店のポイントカードを持ち歩く。
同行する人が聞きたがるかもしれない、とイヤホンを2セット持ち歩く。
私、ここまでひどくない!と思えるような話ばかり。
なのになぜ、小山薫堂は「捨てられない」ことで悩んでいないのか。
人に使命があるように、モノにも使命がある。
有効活用しないのはもったいない。
すべてのモノが出番待ちなのだろう。
「捨てられない」と悩む人のモノは死んでいる。
ただただ溜め込まれ、積み重ねられ、奥へ奥へと押しやられている。
「活用しよう」
「使おう」
「あれとあれを組み合わせよう」
そうそう。
汚部屋脱出時、私もこれをやった。
「いつか使おう」ととっておいたノートをすぐに使った。
「ここぞという時に」ととっておいた綺麗な紙袋も使った。
「気に入った写真やページだけ切り抜きたい」そう思ってとっておいた雑誌やパンフレット。
すぐに切り抜いた。
切り抜いた写真はすぐに壁に貼った。
考えに考え抜いて未練を断ち切り、捨てたわけじゃない。
死蔵していたモノたちを、使っていったんだ。
捨てないで片付けるには、
「活かそう」
「使おう」
有効活用しないのはもったいない。
モノも、あなたの時間も才能も、活かさないのはもったいない。
佐藤可士和的シンプル空間に憧れつつ(笑)、
活かしていきましょー!
*旧ブログで公開した記事を再掲しました。