紹介するのはこちらの本。
ナショナル・ジオグラフィックから出版された『ホーダー 捨てられない・片づけられない病』です。
出版社サイトに特設ページがあり、試し読みもできます。
全部読んでからレビューするつもりだったのですが、まだ3分の2までしか読めてません。
読み終わって自分の中で消化するのもなかなかに大変そうですので、一先ずこういう本があるよというお知らせでした。
前回紹介したナショナル・ジオグラフィックから出版された『ホーダー 捨てられない・片づけられない病』読み終わりました。

非常に中身が濃いものでした。
片付けのプロと名乗る人は全員が読むべき本だと思います。
ホーディング。
元々は貯蔵や秘蔵という意味だそうですが、日本ではまだ聞き慣れない言葉です。
本書でも訳がいくつかあり、統一されていません。
このあたりがまだまだこれから解明されていく分野なのだなと感じました。
というわけで、ざっくりと私の解釈で説明しますと、
ホーディングとは、生活に支障をきたしてもモノを集め続け、溜め続け、捨てないこと。
ホーダーは、ホーディングする人。
モノを集めたり、溜めたり、捨てられなかったりというのはホーダーでなくとも経験することです。
では、非ホーダーとホーダーはどう違うのでしょうか。
本書の帯や出版社サイトの特設ページには
「捨てられない」は病気かもしれない? 整理整頓が苦手な人と、 ホーダーの境界線はどこにあるのか。
と煽り文句があります。
実際、読んでみると非ホーダーとホーダーの境界線は分かると思います。
モノに対してどういう思いを抱くのか。
モノがホーダーにとってどういう存在なのか。
詳しく書かれています。
非ホーダーがほんの少しのモノに対して抱くような愛着を、ホーダーは多くのモノに抱きます。
モノを集めすぎる、溜めすぎる、捨てなさすぎる。
モノに愛着を持ちすぎる、感情移入しすぎる、頼りすぎる。
ホーダーも他の軽・中度の精神疾患と同じように「しすぎる」から病気なのです。
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本書では何パターンかのホーダーが出てきます。
動物を集めすぎるアニマルホーダー、衛生観念の欠如したホーダー、子供のホーダーなどなど。
そしてページ数は少ないですが、ホーダーの子供たちも出てきます。
最後には対策例としてセラピー・参考図書・自助グループ・支援組織を紹介しています。
が、これはアメリカの話。
日本で同じようなセラピーが受けられるのかはわからない。
参考図書のうち邦訳されているのは少数であり、自助グループは表立ってはない。
(個人的に、2ちゃんねるの掃除板は自助グループ的な役割を果たしていると思う)
(が、リンクを貼ってオススメできないくらいの毒もある)
日本ライフオーガナイザー協会ではこの4月から、ホーダーを含む慢性的に片付けられない人をサポートするオーガナイザーを育てるための講座がスタートします。
とはいっても、本書に出てくるようなホーダーは精神医療の専門家に任せるべきクライアントだと私は思います。
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非ホーダーとホーダーの境界線はわかっても、ホーダーとホーダーっぽい人の境界線はわかりませんでした。
私自身、ホーダーと同じような経験をし同じ過程を踏み、汚部屋で生活していた。
ホーダーの語る言葉のどれもがよくわかる。
共感できる。
けれど、本書に出てくるホーダーたちのような強迫性障害は一切なかった。
*DSM(アメリカ精神医学会精神障害者の診断と統計マニュアル)ではホーディングを強迫性障害の症状として分類している
日常生活、社会生活を送れる人間は病んではいないのだろう。
だからといって決して健全ではない。
病院に行くほどではない。
悪い癖レベルで踏みとどまっている。
踏みとどまれている。
そんな病と健全の間で悪癖を抱えもがく人たちに向けて、本書から参考になりそうな部分を次回紹介いたします。
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「ホーダー」を読んで、そのほとんどは「そうそう」「あるある」「あぁ、やっぱり」というものだったのだが、目からウロコだった記述が2ヶ所ある。
今回は1つ目。
P22
多くの点で、ホーディングは衝動制御障害(ICD)に似ている。ICDの特徴は、ある行動がたとえ危険だったり有害だったりしても、その行動への衝動を抑えられないことだ。
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前回の記事を書く時に、ホーダーやホーディングを日本語で言うと何になるのだろうと考えた。
ホーダーは汚部屋住人かゴミ屋敷住人とすぐ言葉が浮かんだのだが、ホーディングはいくら考えても浮かばなかった。
日本語では行動自体に名前がついていないこと、私自身それに気付かなかったことに驚いた。
部屋をどんなに片付けようと、片付く仕組みを作ろうと、
買いすぎる・もらいすぎる・溜め込み過ぎる
この行動自体を変えなければ、リバウンドしてしまう。
(思えば、最近流行りの片付け法、断捨離・こんまり・美的収納などはこのホーディング行動の矯正をメソッドに組み込んでいる。)
部屋を綺麗にすること、片付けや捨てることばかりに目が行くが、これ以上モノを増やさないことも必要。
それは衝動と上手に付き合うことに他ならない。
「ホーダー」の中に出てきたセラピストの代わりに買い物に関する質問リストを作るというのも効果的。
「これと似たものを持っていないか?」
「これをしまう場所はあるか?」
自宅で冷静な時に、自分への質問をリストにし、買い物の際にそれを見て「買いたい」衝動を抑えるブレーキにする。
練習を積み重ねることで、いつしか質問リストは必要なくなり、自然と衝動をコントロールできるようになります。
私がそうでした。
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質問リストは作りませんでしたが、私も買いたいと思った時には、
本当に必要?
代わりになる物が家にない?
どこに置く?
今家にある物とマッチする?
いつまで使う?
捨てる時は簡単?
これらの質問を自分にしました。
はっきりと答えられない場合はどんなに買いたいと思っても買いませんでした。
無料でもらえる場合も同じ質問をしました。
一番しんどかったお店は100均です。
品数多い
安い
便利そう!
今買わないと!
という気持ちになりやすいんですね。
お店にある品数は多くても、どれもこれも私には必要のない物だったり、安いといってもどこからしら不満が出てくるなら高いですし、便利そうは思った程でもない。
今買わないと!と思うのは商品サイクルが早いからなのですが、その後再販されないなら良い品ではなかったと思うようにしています。
100均の商品は、「可能性」を秘め過ぎてるんですよね。
モノの「可能性」にうっとりしてしまうホーダーの心理などが詳しく書いてあるのがコチラ
↓↓↓
いつ読む?
どこに置く?
本当に必要?
読んで何をしたい?
読み終わったらどうする?
読んでる途中で挫折したらどうする?
以上の質問にはっきりと答えられる人は是非!
次回は目からウロコの2つ目です。
「ホーダー」を読んで、そのほとんどは「そうそう」「あるある」「あぁ、やっぱり」というものだったのだが、目からウロコだった記述が2ヶ所ある。
今回は2つ目。
P105
最新の研究から、自尊心の低さに関係するうつとは異なり、強迫性買い物障害やホーディングは、曖昧または不安定な自尊心に結びついていると考えられる。彼らを定義づけるのは結論ではなく「私は価値のある人間だろうか?」という疑問だ。こうした疑問を抱いた人は、自分の価値の証を探すことになる。
このくだりを読んだ時に「あぁ、そうか。そうだね。うんうん、そうだそうだ」と激しく頷いた。
曖昧または不安定な自尊心!!
自尊心がずっと低いわけではない。
職場ではきちんと片付けることが出来る。
仕事の優先順位もつけられる。
常に無力だと感じているわけではない。
ところが。
自宅では何一つ決められない。
片付ければいいことはわかっていても、どこから手をつけるのかすら決められない。
「捨てる」ことを考えた瞬間に逃げ出したくなる。
役割を与えられると安心する。
それは恐らく、与えられた役割をこなすことで「価値ある人間」だと感じられるからだろう。
自分で自分を評価できない。
それがホーダーの特性なのではないだろうか。
「あなたの好きに」
「自由に」
「何をしてもいい」
こう言われると戸惑うのではないだろうか。
内側から沸き上がる、芯のしっかりとした「私」が見えない。
役割や所有物といった外側を積み上げ「私」を作る。
だから。
役割を変えられない。
モノを捨てられない。
だって、それは「私」だから。
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私が汚片付けをした時、
平常心で行うこと
思い込みを疑うこと
この2つの重要性を知らずに実践していた。
結果的に私は、
衝動性をコントロールすることで片付けをやり遂げ、
役割やモノから「私」を取り戻すことができた
モノは友達で味方で私を守ってくれる存在だった。
そしていつしかモノの中に埋もれていった私の欠片たち。
折れ曲がって錆びたクリップ1つにも、何も書かれず黄ばんでしまったノートの切れっ端にも、私の欠片が溶けていた。
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モノを見つめ直し向き合うことで自尊心は安定するのかもしれない。
曖昧だった自己が明確になるのかもしれない。
片付けは人生を変える?
当然だ。
ホーダーやホーダー的な人にとって、部屋を変えることは「私」を変えることなのだから。
人生を変える一歩を踏み出してみませんか?
旧ブログで公開した記事を再掲しました。
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