告白・2

告白・1


Mさんは朝、布団の中で死んでいたという。
いじめが原因で、頭を打ったのではないか。
そんな噂が流れている中、いじめていた男子がひとりまたひとりと、警察に事情を聞かれるために別室に呼ばれていった。

張りつめたような異様な空気の教室。

学校の外ではマスコミが群がり、他のクラスの子や下級生たちにインタビューしていた。

私達のクラス以外は、お祭り騒ぎだった。

事情がわかっていない下級生たちは大はしゃぎ。
よそのお母さんたちでさえ非日常に目の奥を輝かせていた。

それから何日たったのかは覚えていないが、数日後、ようやくMさんの死因が判明した。

Mさんはお母さんに殺されたのだった。

ショックだった。

――いい子にしていないと、殺されることもあるのか!

親の言う事を聞かずに反発ばかりしていても、せいぜい施設に入れられるくらいだろうと私は思っていた。

学区内には児童養護施設があり、親と離れて暮らしている子たちがたくさんいた。

私を育てるのがしんどくなったら、施設に入れるだろうと思っていたのに……。

――殺されることもあるの!?

さらにショックは続く。

Mさんのお父さんは警察官だったのだ。

――身内をかばおうと、警察はいじめが原因で死んだことにしたかったんじゃないの?

――直接手をかけられて死ぬのと、いじめによって間接的に死ぬのでは大違いではないの? 検死したらすぐわかるんじゃないの?

――なぜ、男子たちは事情聴取されたの?

わけがわからないことだらけだった。

犯人がわかり、事件は解決。

私達のクラスは、理科室に集められた。

後ろには、授業参観のようにマスコミが並び、私たちにカメラをむけていた。

席につくと、先生が事件についての報告を始めた。

ほとんどの子がうつむいていた。
すすり泣く子もいた。

――嘘つき。私達、全然Mさんと仲良くなかったじゃない。

私は泣かなかった。
顔を上げていたし、向かいに座った男の子とこそこそ話をしてくすくす笑ってさえいた。

そして、あくびをした。

さすがに堂々とするほど無神経はないので、手で口を隠しながらあくびをした。

次の日。

あくびをして涙目になっている私が大手の新聞に載った。

『事件の真相を知って悲しむ児童』という大嘘のキャプションをつけられて。

罰だと思った。

家でとっている新聞、お父さんが毎朝読んでいる新聞。

その場にそぐわない振る舞いをしたことを罰せられたのだと思った。

嘘つきな新聞に。

嘘とごまかしと非日常の日々の中で、一番違和感を抱いたのはいつもと変わらぬ我が家だった。

――なんで、お母さんは私に「大丈夫?」って聞いてくれないんだろう。私から言わないと、何も聞いてくれないんだろうか……。

どの大人も、頼れない。

どの大人も、弱くて嘘つき。子供相手だからってごまかしてるけど、底が浅くて騙しきれてない。

信じられない。

信じない。

私が多少なりとも自分の頭で考えるようになったのは、この時からだと思う。

そして、私たちは6年生になった。

つづく

〆のご挨拶

オオノミエコでした。


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